伝統的日本建築の良さをモダンに蘇らせた、和みの家。
三重県・伊勢市 M様邸
自然と家族のコミュニケーションが育まれる、
間仕切りのない大空間。
玄関ドアを開けて、一歩足を踏み入れた瞬間、なんとも清々しい木の香りが漂ってきた。清流・宮川にほど近い、天然木をふんだんに使った和風建築の家、伊勢市のM様邸だ。
「家を建ててもらう住宅会社を決めるにあたって、本当にたくさんのハウスメーカーさんにプランを提案していただいたんですよ」その数なんと8社。有名どころのハウスメーカーのほとんどが参加したコンペのようなものだったとも言えるだろう。その際、M様が提示したデザイン面でのおもな要望は、「和風建築であること」「木をふんだんに使うこと」の2点だった。
「同じ要望を伝えても、出てきたプランは8社8様。そのなかで三交さんのプランがいろんな面でいちばんバランスが取れていました。そして、間取りやデザイン的な面で追加要望を伝えたときの対応の柔軟さも、他社とくらべて断然すばらしかったですね」
こうして三交ホームとの、二人三脚での家づくりがはじまった。
「三交さんの社員の方々の姿勢には、本当に感激しました。営業マン・設計士・インテリアコーディネーターの方など、みなさん本気で私たちの要望を聞き入れてくれ、とにかくいい家をつくろうという意欲がひしひしと伝わってきました。まだ契約をしていない段階から、設計士さんがヒアリングで要望を細かく聞き出してくれたり…。ほかにも、耐震強度や断熱性能など、素人には見ただけではわからない部分は、その場でわかりやすく説明してくれたり、強度を数値で明確に示してくれるなど、とにかくひとつひとつの要望や質問に対して真剣に対応してくれましたので、安心してお任せできました」
この家の最大の魅力は、天然木をふんだんに使った内装デザインと、一枚板を使ったインテリアコーディネート。ダイニングテーブルをはじめ、畳スペースのカウンターや玄関のベンチ、洗面所など、ポイントとなる部分に自分たちで買いつけた一枚板が使用されている。
「この一枚板は、インテリアコーディネーターさんに紹介していただいた飯高の材木屋さんで買ったもの。買い付けには3回ほど行ったんですが、3回とも設計士さんとインテリアコーディネーターさんが同行してくださって、この板ならどこに使えるかなど、その場でアドバイスをくれて本当に助かりました。
木が決まったら、コーディネーターさんがその場でアイデアをサラサラと絵に描いてイメージを伝えてくれたんですが、これには感動しましたね。しかも納得いくまで、何度もアイデアスケッチを描いてくれました」
また、玄関のアクセントとして置かれた生け花と間接照明の後ろには、表面に凹凸加工が施された「なぐり板」と呼ばれるものが使われている。なぐり板は、茶室などに使われる日本の伝統的な技法で、微妙に波打つ立体的な文様が、照明に照らされて浮かび上がり、実に美しい。
「なぐり板もインテリアコーディネーターさんが見つけてきてくれたもの。施工の際は、設計士さんが、『下に少し台を置いて、床から少し浮かした感じで』などと提案してくださり、毎日のように大工さんと打ち合わせをして細かいところまで調整を繰り返してくださいました」
このなぐり板のほかにも、さまざまなところに、伝統的な日本の建築様式をモダンに発展させた工夫が施されている。たとえば、畳スペースの天井には、細い薄板を互い違いにくぐらせて編んだ「網代」があしらわれている。そして畳スペースの大きなポイントとなっているのが、アールの曲線を活かした聚楽壁と丸い雪見窓。網代の天井とも相まって、実に品のある和モダンな空間となっている。
「家づくりは本当に楽しかったですね。専門家のみなさんのアドバイスのおかげで、想像以上の家を建てることができました。どの部屋にいても木の温もりが感じられて、とても安らげます。これから、子どもの成長に合わせて、ちょっとずつ手を加えていこうと思っています」
家族が安らげるだけでなく、この家を訪れた方は、みな一様に「なぜだかすごく落ち着く家ね」と言ってくださるとか。それは天然木のやさしさが感じられるからかもしれないが、それに加えて、さりげなく飾られた季節を感じさせる活け花や、窓から見える落葉樹など、日本人の心を和ませてくれる、M様の暮らしへの気遣いが、隅々まで行き渡っているからに違いない。