遊び心にあふれたシンプルかつ大胆な家。
三重県・鈴鹿市 I様邸
斜めにあしらわれた檜のアクセントで、
デザイン性の高い空間に。
徹底的にモノトーンにこだわり、そこにビビッドなアクセントを入れた、シンプルかつ大胆なデザイン。遊び心にあふれながらも、住む人を包みこむような落ち着きもある。オーナーのこだわりがぎっしり詰まった、鈴鹿市のI様邸におじゃました。
「家を建てるにあたって、本当にたくさんの願望があったんですが、三交ホームさんは、僕の理想を一生懸命形にしようとがんばってくれました。たくさんアイデアを出してもらい、コスト的にもいろいろと相談し、満足いくまでつき合ってくださいました」
そう言いながらご主人が中へ迎え入れてくれた。3LDKの賃貸マンションに住まわれていたのだが、子どもたちも大きくなり、家を建てることを決めたと言う。
「三交さんは、営業さん、設計士の方、コーディネーターの方、大工さんなど、みなさんの連携がとてもよくとれているので、安心して任せられましたね。無理なお願いをしても、すぐに連携をとって、みなさんが同じ姿勢で、それぞれの専門的な立場から考えてくれる。とても信頼できました」
リビングに入ると、その圧倒的な開放感に驚かされた。吹き抜けの大空間で、天井には黒いシーリングファン。大理石調の、高級感ただようツヤのある白いフロア。3方が真っ白で、一面だけが黒の壁。そして、リビングのデザインの主役となっているのが、その黒い壁を分断するかのように斜めにあしらわれた檜のアクセント。この檜のアクセントだけをとってみても、他のどの家とも違う、唯一無二のオリジナリティがある。あまりにモダンすぎると、冷たい印象を与えてしまうこともあるが、この天然木があることで、とても落ち着ける空間となっており、絶妙なバランスが保たれている。その壁の前に掛かっているのが、黒いスチール階段。2階ホールの手すりと統一され、じつにスタイリッシュだ。
ダイニングスペースの大きなアクセントとなっているのが、檜のアクセントにあわせた、斜めに仕切られ、色分けされたデザインの引き戸。この扉の向こうには和室がある。
「和室はどうしてもほしかったんですけど、普通の和室じゃなく、とびきりオシャレにしたいと思ってました。そしたら設計士さんが、今のデザインの原案になる建築物の写真を見せてくれたんですが、これがまさに僕のイメージにドンピシャ。すぐに話がまとまりました」
入って正面にある、上下互い違いに置かれたベージュのボックスのように見えるのは押入れなのだが、誰もこれを押入れとは思わないだろう。ベージュの花柄のふすまの奥が収納スペースとなっている。このふすまはもちろんスライドするのだが、片側しかない。つまり収納として使えるのは、上下とも半分だ。そのかわり、類まれな美しさをこの和室にもたらしている。上下を区切る段は、まるで宙に浮いているかのように見える造作がなされている。
押入れの右側には床の間。湾曲した床柱と敷石が照明に照らされ、美しい陰影を描いている。さらに、片側の壁は黒。そしてなんと畳も黒。徹底的に計算された、和モダンの手本のようだ。
そして、「秘密基地」をテーマにしたという子ども部屋が、これまた最高にオシャレで楽しい空間だ。
中央にある木の階段でロフトに上がると、現れるのは、半月型のドア。この扉を開けて入っていくと、もう一方の子ども部屋につながっており、自由に行き来できるようになっているのだ。なんてワクワクする仕掛けだろう。さらに、天井には蓄光の星の壁紙。星を見ながらロマンチックな気分で眠れるようにという計らいだ。
照明にもこだわっている。この家では、子ども部屋を除いて、一般的なシーリングライトではなく、ほぼすべて埋め込み式のダウンライトかスポットライト、間接照明だけで構成されている。そのため、均一な光ではなく、濃淡のある光のグラデーションが描かれ、上品さと安らぎを与えてくれている。
ほかにも、ビビッドな赤い玄関ドアに、玄関ホールとバスルームの青い照明。釣りが大好きなご主人の趣味の部屋に、奥さまの読書室。この家には、数えきれないほどのこだわりが、随所に散りばめられている。
これだけこだわった家だから、さぞかし打ち合わせを重ねただろうと思いきや、打ち合わせは、なんと4〜5回だけで済んだと言う。
「設計士さん、コーディネーターさんをはじめ、みなさん、私たちの好みを的確に理解してくれましたので、とてもスムーズでしたね。見事に理想をかたちにしていただき、本当に感謝しています」
普通なら躊躇してしまうかもしれない大胆なデザインでも、うまくまとめれば、奇をてらった感じにならず、シックで居心地のいい空間に仕上げることができる。そんなことを教わったように感じた今回の訪問であった。