第19回コラム / 和のこころ

「茶道の美しい所作」

 「茶道」。作法が堅苦しいというイメージがあるかもしれません。しかしながら「茶道」の根底にあるのは相手を思いやり、尊重し、最大限にもてなす心です。それぞれの作法に思いやりの心が含まれていることを知れば、それほど堅苦しいとは感じなくなるなるかもしれません。

 なぜ、茶道は正座をしなければいけないのか。堅苦しく思う1つの理由かもしれません。
 茶室の中では、亭主から客まで、みんな正座をします。茶室の中は狭く、それぞれが勝手気ままな座り方をすれば、とても茶室の中に納まりきれません。また、隣の人に足の裏を見せたり、足が触れるようなことがあっては失礼です。
 さらに、小間(こま)の茶室では、立たずに、膝をついたまま にじって移動するのも、狭い茶室の中では埃を舞い上がらせたり、道具を誤って壊す危険があるため。
 こうした決まりごとは、一緒にいる相手や、使う道具のためのもの。お互いが、ほんの少し自分の行動を制限することで、その場にいる全員が居心地良く感じられるためなのです。

 茶室でお菓子が回ってきたら、亭主から「お菓子をどうぞ」と声がかけられてから手を伸ばし、下座の方に「お先に」と一声かけて、自分の分を取ります。これは、次の方よりもお先に頂きますね、という配慮です。
 お茶をいただく際、亭主はきれいな絵柄の入ったほうを客に向けて出してくれます。それに対し客は、遠慮して正面を避けていただきます。これは、亭主の道具に対して、大切な絵柄の部分に口をつけないという配慮です。
 茶道のこういった作法を「ルール」だと思うのではなく、「相手を思いやった結果、自然と心から出た動き」と考えればすべての作法が優しく美しい所作だということがわかることでしょう。
 一方、茶会を開くとなれば、事前の準備が必要です。炭がはぜたり、持ったときに指が汚れないよう、使用前に炭を洗い、当日のために庭の手入れをし、玄関には水を打ち、さらに滑らないように余分な水を雑巾で拭いておきます。さらに、茶器等は相手が好みそうな柄や年代物の道具を使ったり、季節的な趣向を凝らしたりとどうしたら相手に喜んで頂けるかを考えながら、いろんな心配りをします。
 相手を思いやる心と、もてなす心。茶道の心得を日常生活に取り入れて見ませんか。あなたを中心に、心穏やかで素敵な輪が広がっていくかもしれませんね。

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Praiseが考える「美しいもの」とは…
「美しい」という基準は人それぞれです。モノ、絵画、写真などに込められた笑顔や風景など世界には美しいものが溢れています。しかしながら、そのどれもが、すべての人に美しいと評される事はありません。Praiseが考える「美しい」とは、より多くの人が心穏やかに素敵だと共感できるものだと思います。Praiseの伝えたい「美しい」が多くの皆様に共感していただけたら幸いです。

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